ピッチャーというと、
「球速を上げる」
「コントロールを良くする」
「変化球を覚える」
といったことに目が行きがちです。
もちろん、これらも大切です。
しかし、24年間野球を指導してきて感じるのは、
試合で信頼されるピッチャーになるには、投げること以外の技術も非常に重要
ということです。
特に中学生のピッチャーに身につけてほしいのが、
- 牽制
- ピッチャーとしてのフィールディング
- カバーリング
- バントへの対応
- 打球への反応
です。
今回は、その中でも特に大切な牽制・フィールディング・カバーリングについて解説します。
① ピッチャーは「投げるだけ」ではない
ピッチャーの仕事は、マウンドからキャッチャーにボールを投げることだけではありません。
守備では、
「9人目の野手」
としての役割があります。
ピッチャーが守備でしっかり動けるチームは、守備全体が安定します。
逆に、
「打たれたら終わり」
「自分は投げるだけ」
という意識では、余計な進塁を許してしまうことがあります。
ピッチャー自身が守備の一員だという意識を持つことが大切です。
② 牽制は「アウトを取る」だけではない
ピッチャーの牽制というと、
「ランナーをアウトにするため」
と思うかもしれません。
もちろん、それも目的の一つです。
しかし、牽制の大きな目的は、
ランナーを自由にさせないこと
です。
ランナーが大きくリードを取れなければ、
盗塁のスタートも切りにくくなります。
つまり、牽制を入れることで、
ランナーの動きを制限することができます。
③ 牽制は「速さ」だけではない
牽制が上手いピッチャーは、単純に球が速いだけではありません。
大切なのは、
ランナーを見ること。
そして、
ランナーに「牽制が来るかもしれない」と思わせること。
毎回同じタイミングで投げていると、ランナーに動きを読まれてしまいます。
反対に、ランナーの動きをしっかり見ながら投球することで、簡単にスタートを切らせないことができます。
ただし、牽制動作については大会規則や所属チームの指導に従うことが大切です。
④ 牽制が上手くなるために練習したいこと
中学生のピッチャーには、まず基本動作を身につけてほしいと思います。
例えば、
・正しい牽制動作
身体の使い方を覚える。
・ランナーを見る習慣
投げる前にランナーの位置を確認する。
・牽制後の守備
投げて終わりではなく、その後のプレーに備える。
・内野手との連携
ファーストなどの野手と、どこに投げるかを確認する。
牽制はピッチャー一人の技術ではありません。
チーム全体の守備です。
⑤ フィールディングが良いピッチャーはチームに安心感を与える
次に大切なのがフィールディングです。
ピッチャー前のゴロ。
バント。
ピッチャーゴロからの一塁送球。
こうしたプレーを確実にできることは非常に重要です。
特に中学生では、
「ピッチャーゴロをアウトにできる」
だけでも大きな武器になります。
球速が速いだけではなく、
守備もできるピッチャー
を目指してほしいと思います。
⑥ バント処理は判断が大切
ピッチャー前にバントされたとき、
「とにかくボールを取りに行く」
だけではいけません。
大切なのは、
「どこでアウトを取るのか」
を判断することです。
ボールの強さ。
ランナーの位置。
アウトカウント。
バッターの位置。
こうした状況を見ながら判断します。
中学生の段階では、まず指導者と一緒に、
「この場面ならどこへ投げる?」
と考える練習をしておくといいでしょう。
⑦ カバーリングは絶対に忘れてはいけない
そして、ピッチャーにぜひ覚えてほしいのが、
カバーリングです。
例えば、一塁方向へのゴロ。
ファーストが捕球して一塁へ送球します。
このとき、ピッチャーが何もしなかったらどうなるでしょうか。
送球がそれたり、ファーストがベースから離れたりすると、
誰も一塁をカバーできない場合があります。
そこでピッチャーが一塁方向へ走って、
送球がそれた場合に備える。
これがカバーリングです。
⑧ カバーリングは「習慣」にする
カバーリングは、
「今日はやろう」
ではなく、
毎回の守備で自然に動けるようにすること
が大切です。
練習では、
「打球が飛んだ」
↓
「自分はどこをカバーする?」
↓
「すぐに動く」
という流れを身体に覚えさせます。
試合では一瞬の判断が必要になります。
だからこそ、普段の練習から繰り返しておくことが重要です。
⑨ ピッチャーは「次のプレー」を考える
フィールディングが上手いピッチャーには共通点があります。
それは、
一つのプレーが終わった後を考えていること。
例えば、
バントを処理した。
一塁へ送球した。
そこで終わりではありません。
「送球がそれたらどうする?」
「次にどこへカバーに行く?」
と考えます。
ピッチャーは、
「投げる → 終わり」ではなく、「投げる → 守る → 次に動く」
という意識を持ってほしいと思います。
⑩ 球速だけを追いかけない
中学生のピッチャーから、
「球速を上げたい」
という相談をよく受けます。
もちろん球速アップは魅力的です。
しかし、高校に進んだときに評価されるピッチャーになるためには、
球速だけではありません。
- コントロール
- 変化球
- クイック
- 牽制
- フィールディング
- カバーリング
- 打者との勝負
- 状況判断
こうした能力を少しずつ伸ばしていくことが大切です。
24年間指導してきて感じる「良いピッチャー」
24年間、野球の指導をしてきて感じるのは、
良いピッチャーは、守備でもチームを助ける
ということです。
三振を取れるピッチャーはもちろん魅力があります。
しかし、
「このピッチャーなら安心して守れる」
と思われるピッチャーも非常に大きな価値があります。
牽制をする。
打球に反応する。
バントを処理する。
一塁をカバーする。
次のプレーに備える。
こうした小さな積み重ねが、試合で大きな差になります。
中学生ピッチャーが練習したい5つ
最後にまとめます。
① 牽制
ランナーを自由にさせない意識を持つ。
② ピッチャーゴロ
捕球から送球までを繰り返す。
③ バント処理
「どこでアウトを取るか」を判断する。
④ カバーリング
打球が飛んだら、自分のカバーする場所を考えて動く。
⑤ 次のプレーへの準備
一つのプレーで終わらず、次の動きを考える。
まとめ
中学生のピッチャーは、
「速い球を投げること」だけを目標にしないでほしい
と思っています。
牽制。
フィールディング。
カバーリング。
これらを身につけることで、ピッチャーとしての総合力が上がります。
そして何より、
「守備でもチームを助けられるピッチャー」
になってほしいと思います。
高校野球では、中学時代よりもさらに速い打球、速い判断が求められます。
だからこそ、中学生のうちから、
投げる・守る・考える
という3つを意識して練習してみてください。
24年間の指導経験から、私はこの部分をとても大切にしています。


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