中学生のピッチャーを見ていると、
「高校に入ってから伸びそうだな」
と感じる選手がいます。
一方で、中学生の時点では球が速く、試合でも活躍しているのに、高校に入ってから苦労する選手もいます。
もちろん、成長には体格、成長期、ケガ、指導環境など、さまざまな要素があります。
それでも、24年間、中学11年・高校13年の野球現場で選手を見てきて、高校で伸びるピッチャーには共通する部分があると感じています。
今回は、その中でも特に大切だと思う5つを紹介します。
① 「球速」だけにこだわっていない
ピッチャーなら、誰でも速い球を投げたいと思います。
中学生なら、
「125km/h投げたい」
「130km/hを超えたい」
と思うのは当然です。
球速はピッチャーにとって大きな武器になります。
しかし、球速だけを追いかけるのは注意が必要です。
高校に入れば、身体が大きくなり、筋力もついてきます。
中学生のときに120km/hだった選手が、高校で身体の成長とともに球速を大きく伸ばすこともあります。
だから中学生の段階では、
「今何キロ投げられるか」だけではなく、「高校で球速を伸ばせる身体と投球動作を作れているか」
を見ることが大切です。
② 下半身を使って投げられる
高校で球速を伸ばしていくためには、腕だけで投げるのではなく、身体全体を使って投げることが重要です。
特に、
- 下半身の使い方
- 股関節の動き
- 体重移動
- 軸足の使い方
- 上半身との連動
などは大切になります。
腕だけで強く投げようとすると、肩や肘に負担が集中することもあります。
逆に、身体全体をうまく使えるようになれば、身体が成長したときに球速が伸びる可能性があります。
中学生のうちから、
「腕を強く振る」だけではなく「身体全体で投げる」
という意識を持ってほしいと思います。
③ コントロールを大切にしている
高校野球では、ただ速い球を投げればいいわけではありません。
ストライクを取る。
低めに投げる。
変化球を使う。
打者とのカウントを考える。
こうした能力が必要になります。
特に大切なのが、
自分の球をストライクゾーンに投げられること。
球速がそれほど速くなくても、ストライクを先行させられるピッチャーは試合を作ることができます。
中学生のうちから、
「思い切り投げる」
だけではなく、
「狙ったところに投げる」
練習も大切にしてほしいと思います。
④ 自分の身体の状態を理解している
これは高校に入ってから非常に大切になります。
高校野球では練習量も増えます。
毎日投げることもあります。
だからこそ、
「今日は肩が重い」
「肘に違和感がある」
「下半身が疲れている」
など、自分の身体の状態を把握する力が重要です。
無理をすることが根性ではありません。
特に肩や肘に痛みがある場合は、早めに指導者や医療専門職に相談することが大切です。
高校で長く投げるためには、
「投げる能力」だけでなく「身体を守る能力」も必要です。
⑤ 野球を自分で考えられる
私が特に大切だと思っているのが、これです。
「監督に言われたから投げる」
だけではなく、
「なぜ今の球が打たれたのか?」
「なぜ今日はコントロールが悪いのか?」
「自分のフォームのどこに問題があるのか?」
を考える。
こういう習慣を持っている選手は、成長するチャンスを自分で作ることができます。
もちろん、指導者のアドバイスを聞くことは大切です。
そのうえで、
「自分で考える」→「試してみる」→「結果を見る」
というサイクルを作ってほしいと思います。
中学生ピッチャーは「完成」を目指さなくていい
中学生のピッチャーを指導するとき、
「今すぐ完成されたフォームにしよう」
と考えすぎる必要はないと思っています。
中学生から高校生になると、身体は大きく変わります。
身長が伸びる。
体重が増える。
筋力がつく。
身体の使い方も変わっていく。
そのため、中学生の段階では、
高校でさらに成長できる土台を作ること
が重要です。
高校で伸びるピッチャーは「今の完成度」だけでは決まらない
中学生の時点で、
「球が速い」
「身体が大きい」
「大会で活躍している」
ということは大きな長所です。
しかし、それだけで高校での成長が決まるわけではありません。
反対に、
「今は球速がそれほど速くない」
「身体が小さい」
「まだ試合経験が少ない」
という選手でも、高校に入ってから大きく成長する可能性があります。
だからこそ、中学生の選手には、
「今の自分」と「高校での自分」を分けて考えてほしい。
と伝えたいです。
まとめ
高校で伸びるピッチャーに共通すると感じる5つの特徴は、
- 球速だけにこだわらない
- 下半身・身体全体を使って投げる
- コントロールを大切にする
- 自分の身体の状態を理解する
- 野球を自分で考える
です。
もちろん、これがすべてではありません。
選手によって身体も違えば、性格も違います。
だからこそ指導者には、
「全員に同じことをさせる」のではなく、「その選手に何が必要なのかを考える」
ことが求められるのだと思います。
24年間、野球の現場で選手を見てきましたが、選手の成長は本当にそれぞれです。
中学生の今だけを見て、将来を決めつけない。
そして選手自身にも、
「高校で伸びるために、今何をしておくべきか」
を考えてほしいと思っています。
このブログではこれからも、24年間の指導経験をもとに、ピッチャー育成について本音で書いていきます。


コメント